土壌改良資材(石灰・微生物)について解説!収量アップは「土」の力で
畑の良質な土づくりにおいて不可欠なものに、石灰資材と微生物資材があります。
この記事では石灰資材の種類・役割に加えて、これから微生物資材を使おうという方に向けて、使用時のポイントをご説明します。
この記事では石灰資材や微生物資材など、土壌改良資材の導入を検討中の農家さんに向けて
- 石灰資材の種類
- 場面ごとにどの石灰資材を使うのが良いか
- 石灰資材が農業でどんな役割を果たすか
- 微生物資材について(効果的な使い方や農業現場での位置付けをご説明)
といった情報をお伝えするとともに、弊社(リサール酵産)の半世紀近い歴史を誇る微生物資材・カルス製品についてご紹介します。
石灰資材の種類と、その役割について
土作りに必要なものとしてまず、思いつくのは石灰資材ではないでしょうか。
石灰資材をどう選んで、どのように使ったらいいか、そして石灰資材はどんな役割を果たしてくれるのかについてお話しします。
石灰資材の種類
農業で使用する石灰資材には、主に3つの種類があります。
用途によって、最適な石灰資材を選んで使いましょう。
有機石灰
有機石灰は、貝がらやたまごの殻などからできている資材です。
主成分は炭酸カルシウムで、水酸化マグネシウムが若干含まれています。
アルカリ分は40~50%程度で水に溶けにくく、散布後すぐに播種・定植ができる点が特徴です。
ゆっくりとした効き目で、使い続けることで土壌改良効果を発揮します。
微生物資材を使用する際に、組み合わせる石灰資材として適しています。
苦土石灰
苦土=マグネシウム、石灰=カルシウム(炭酸カルシウム)の2つを含んでいるのが苦土石灰です。ドロマイトという鉱石を原料としています。
苦土石灰は植物に必要なマグネシウムとカルシウムを同時に与えることができ、石灰資材の中では比較的多く用いられています。
有機石灰ほどではありませんが、どちらかというと苦土石灰も効き目はゆっくりといえるでしょう。
消石灰
消石灰は石灰(水酸化カルシウム)を主成分としており、60〜70パーセント超のアルカリ分を含む強アルカリ性です。
殺菌力があり、消毒効果が期待できます。酸度調整の面で速効性があり、土壌改良効果をすぐに実感しやすいのが特徴です。
石灰資材の役割
畑づくりで、土壌改良に用いられる石灰資材。その役割は大きく分けて2つあります。
酸性に傾いている土壌のpHを調整する
石灰に含まれるアルカリ成分は、水に溶けて流れやすい性質をもっています。
降雨量が多い日本では、土壌のアルカリ成分が減少して酸性になりがちです。
そのため、アルカリ成分の強い石灰資材を使って酸性に傾いた土壌を中和させ、作物が育ちやすいpH値に調整する必要があります。
作物によって適したpH値は異なり、
- 6.5~7.5(微酸性〜ややアルカリ)ではホウレンソウやエンドウなど
- 5.0~6.0(弱酸性)サツマイモやジャガイモなど
- 5.5~6.5(酸性)ではトマトやキュウリなど
が、生育しやすいpH値です。
カルシウムを補給する
石灰資材の主な成分はカルシウムです。種類を選び、使用量を調整することで土壌中のカルシウム量を調整します。
有機石灰や苦土石灰は微量のカルシウム供給をしつつ、長いスパンでのpH調整を目指します。
対して消石灰はアルカリが強く、酸度調整(pH矯正)に重きを置く場合に適しています。資材の目的を明確にすると、どの石灰資材を使ったらいいか分かりやすいでしょう。
また、土の中にカルシウム成分が豊富にあるにもかかわらず作物がカルシウム欠乏症になることがあります。土壌が乾燥している、もしくは窒素過多になっているなど肥料バランスが崩れてしまうことが原因です。ここに石灰を入れるとカルシウム過多になってしまい作物へ障害が出る可能性があります。石灰を使う際は、土の状態を確認することも大切です。
土壌改良に力を発揮する微生物資材
石灰資材のほか、田畑では微生物資材の使用も視野に入るかと思います。
土壌の微生物を増やし、健全で安心な作物を育てるために役立つ微生物資材の基本的なポイントについて、ここでは紹介します。
微生物資材とは
微生物資材は、土中の有機物の発酵を促進し、土壌を改良する資材です。
土壌微生物相のバランスを整え、土を肥沃にすることで化学肥料や化成農薬をできるだけ減らし、健康で味の良い野菜作りを実現します。
微生物資材は比較的歴史のある土壌改良資材ですが、近年は消費者の生鮮食料品への安心・安全思考が広まっていることから、需要が特に高まっています。
条件が揃えば大きな効果を発揮するとあって、農家さんだけでなく家庭菜園などでも幅広く利用され始めています。
法的規制はないものの、普及が進んでいる
微生物資材は肥料取締法・地力増進法などの法的規制はありませんが、2009年より「全国土壌改良資材協議会」が微生物資材の自主表示基準を設定しています。
2025年6月には、JA全農が植物の自然な成長を促す物質・微生物を用いた農業資材(バイオスティミュラント資材)の導入を決め、複数の資材を対象に効果を測る実証実験を進めているとの報道もありました(参考:「JA全農も導入決め、実証実験を進行中 高温障害への耐性に期待」農業協同組合新聞)。
リサール酵産でも、およそ半世紀にわたる研究・試用により微生物資材の効果を証明しています。使用方法をレクチャーしたり、優良事例などの情報提供を行ったりして、普及に努めています。
リサール酵産の土壌改良資材
農業において、土の状態をよくすることは最重要課題といっても過言ではありません。
使用目的や期待する効果をふまえ、土壌の条件・状態などを確認したうえで使用する資材を決めましょう。
リサール酵産では微生物を活用した土壌改良資材を製造・販売しています。研究・改良を重ねた歴史のなかで、多くの農家さんが微生物資材で肥沃な土を育て、栄養価の高い作物づくりを実現しています。
これから畑の土作りをしたい、微生物資材を使ってみたいとお考えの方は、ぜひリサール酵産の土壌改良資材をお試しください。
初めての微生物資材は、質の高い土づくりに定評のあるカルスを
リサール酵産の微生物資材には、いくつか種類があります。
今回は、初めての方にも使いやすいカルス製品を2種類ご紹介します。
カルス NC-R 10kg
土壌の微生物相を改善し、作物の生育に適した栽培環境をつくるカルスNC-R10kg(粉状)。生の有機物を利用した土づくりで、豊かな土壌を実現します。
通気性・保水性・排水性のアップ、連作障害の軽減効果が期待できる微生物資材です。
粒状カルス NC-R
.
粒状カルス NC-Rは粉のカルスを3~6㎜の粒状にし、撒きやすくしました。
撒きやすく風などに舞いにくい反面、粉タイプより効果の出現に時間がかかる傾向にあります。
カルスの使い方
カルスの使用には、特別な条件はありません。土の質や、露地・ハウスといった環境も問わない微生物資材です。
畑の作物残渣や落ち葉、米ぬかなどの有機物と一緒に土へすき込み、水をたっぷりと与えれば、どんな畑にもお使いいただけます。
■カルスNC-Rの使用量(10aあたり)
品目・方法 | 使用量の目安(10aあたり) |
---|---|
施設野菜、花卉 | 3~4袋(30~40kg) |
露地野菜・牧草 | 2~3袋(20~30kg) |
果樹・お茶 | 2~3袋(20~30kg) |
カルスを利用している農家さんの声
カルスを愛用してくださる農家さんのなかには、親子代々で使っているという声も少なくありません。
「40年以上大玉トマトを連作」「害虫被害から解放され安心」「粘土質の土に弾力が」といった声が届いています。
畑での使用シーンを動画にしている農家さんも、たくさんいらっしゃいます。
動画は、こちらのページから作物別に検索していただけます。お役立てください。
よくあるご質問
石灰資材や微生物資材に関する、よくある質問をピックアップします。
土壌改良資材をご検討の農家さんの参考になるかと思います。
Q.石灰資材と微生物資材の使用目的を教えてください。
A.石灰資材の使用目的は、酸性に傾いている土壌のpHを調整することと、土壌中のカルシウム量を補うことです。作物が健康に育つ環境を整えます。
対して微生物資材は土中の有機物の発酵を促進し、土壌を改良します。化成農薬や化学肥料をできるだけ減らせる土を作り、作物の収量増や品質向上を目指します。
Q.石灰資材と微生物資材は一緒に使えますか。
A.資材の種類によります。この記事でご紹介している「カルス」をはじめとした弊社製品は、複合型の微生物資材という観点から、石灰資材との併用はおすすめしていません。
Q.石灰資材や微生物資材は、どんな原料でできている資材ですか。
A.石灰資材は文字通り、石灰を含む資材です。貝がらやたまごの殻などを原料とする「有機石灰」、マグネシウム(苦土)とカルシウム(石灰)を含む「苦土石灰」、石灰を主な原料とする「消石灰」と、含有原料によって3つに大別されます。
対して、微生物資材はさまざまな微生物を含みます。例えば弊社製品「カルス」は酸素を必要としない条件下や高温でも活動できる菌、高温下で芽胞を形成する菌(糸状菌や放線菌など)を中心に、多くの微生物を配合した資材です。
まとめ:土壌改良はリサール酵産におまかせください!
今回は土壌改良資材(石灰・微生物)について、微生物資材を長年、取り扱ってきた立場でご紹介しました。
微生物資材は現状ある土の微生物の力をサポートし、作物の品質・収量をアップするアイテムとして、あらゆる農家さんに幅広くご愛用いただけるアイテムです。
リサール酵産では、カルス製品を中心として長年にわたり、農業における土壌改良に取り組んできました。
農家さんの土壌改良の疑問やお困りごとの多くに、ご協力できることと思います。
土に関することはいつでも、リサール酵産へお問い合わせください。